消費税導入の平成元年
消費税導入
国民の不満の声の嵐の中、金銭でやりとりするものほとんどすべてに3%の税を課す『消費税』が導入された。売価にはやたらと端数が付くようになり、1円玉が一躍脚光を浴びる。この年の1円玉製造枚数は、前年比1・8倍の25億7000万枚。消費税に名を借りた便乗値上げも目立った。
セクシャル・ハラスメント
東京駅近郊の某駅で酒に酔った男性が女性をからかい、プラットフォームから突き落とされ死亡。加害者がストリッパーでもあり、関心が高まったが、実質的にこれがセクシャル・ハラスメント裁判の先駆けとなり、この言葉はたちまち〈セクハラ〉と短縮されて流通した。
NOと言える日本
石原慎太郎と盛田昭夫の共著『「NO」と言える日本』が出版され、ベストセラーとなった。「これからの国際関係は協調だけではなくNOと言うことも必要」というのが本の主旨だが、国際派として知られる両者の発言だけに反響は大きかった。
ねじれ国会
7月の参院選の結果、自民党が惨敗して参議院過半数を失い、与野党の議会勢力が逆転、参院は野党が多数を占める、いわゆる「ねじれ現象」が現出した。宇野宗佑首相辞任後の首班指名選挙で、衆議院は自民党の海部俊樹、参議院は日本社会党の土井たか子と、衆参異なる指名になった。
ベルリンの壁崩壊
東欧情勢の激変は、まさに「地球」を揺るがせた世紀の出来事。ソ連・ゴルバチョフ書記長のペレストロイカ路線は、東欧各国の独自政策への道を開く決定的な起爆剤になった11月9日、東ドイツの政府による市民の国外旅行・移住規制の撤廃で、ベルリンの壁は事実上崩壊、10日には壁の取り壊しが始まった。
天安門事件
民主化を要求して北京の天安門広場で座り込みを続けていた学生たちに対し、中国当局は「動乱」と規定。6月4日未明、人民解放軍の戦車や装甲車を投入して実力排除を断行。阻止しようとする市民たちとの間でも、大きな衝突が起こった。死傷者の数は数千人とも伝えられる。
「悪魔の詩」問題
インド生まれのイギリス人作家、サルマン・ラシュディの小説『悪魔の詩』がイスラムを冒涜しているとの理由で、イランの最高指導者ホメイニ師が「著者を処刑せよ」と全世界のイスラム教徒に呼びかけた事件。欧米各国の激しい反発を生んだ。1991年7月には、日本語版訳者の五十嵐一筑波大助教授が殺害される事件が発生した。
イカ天
「イカ天」とは「平成名物TV いかすバンド天国」の略。素人バンドが勝ち抜き戦で争い、これを足掛かりにプロ活動を始めるバンドも。大ヒットの背景に空前のバンドブームがあり、供給源になったのがホコ天で演奏するアマチュアバンドだった。
一杯のかけそば
大晦日の晩、母子3人連れがそば屋にやってきて一杯のかけそばを分け合って食べる。店の主人が盛りを多くして出すという美談が日本中の話題になった。
ばなな現象
作家吉本ばななの小説が、出版界に“ばなな旋風”を巻き起こした。『キッチン』で「海燕」新人文学賞と泉鏡花賞、『うたかた・サンクチュアリ』で芸術選奨新人賞、『TUGUMI』で山本周五郎賞、芥川賞候補に二度も挙がった。難解だといわれる父親の吉本隆明と違い、やさしい言葉で愛・死・別離などをさりげなく書いているのが特徴。