湾岸戦争の平成3年
START(戦略兵器削減条約)
米ソ間の戦略兵器の削減を目指す交渉とその結果締結された諸条約。7月31日、米ソ両国はモスクワで米ソ首脳会談を開き、史上初めて戦略兵器を削減する戦略兵器削減条約(START)に調印。双方とも戦略核弾頭を半減させることが合意されたが、発効前にソ連が崩壊。発効は1994年12月になった。
湾岸戦争
1990年8月2日、イラクが隣国クウェートに侵攻し、同国を占領・併合(湾岸危機)。91年1月、米軍中心の多国籍軍がイラクを攻撃。2月23日からは地上戦に突入し、わずか100時間後には勝利を収め、クウェートを解放した。サウジアラビア出身のウサマ・ビンラーディンは国内への米軍駐留に反発。アメリカへの攻撃をジハードとして全ムスリムの義務だと主張。これがのちにイスラム原理主義組織アル・カーイダらによる、アメリカ同時多発テロの原因となる。
ソ連崩壊(八月革命)
8月のクーデターの失敗とソ連共産党の解体(八月革命)を通して、12月8日、ソ連の消滅とCIS(独立国家共同体)の創設が宣言された。12月25日にゴルバチョフはソ連大統領を辞任。1917年から続いたソビエト社会主義共和国連邦が崩壊した。
ヘア論争
2月に発売された篠山紀信による樋口可南子の写真集『water fruit』は、日本初のヘア(陰毛)がはっきり見える写真集として話題となった。その後も、155万部を売り上げた宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』、雑誌「an・an」掲載の本木雅弘のヌードなどをめぐり、芸術かワイセツかのヘア論争が起きた。
ジュリアナ東京
5月、東京芝浦に誕生したディスコ。最高収容人数2000人、投資総額15億円、ダンスフロア全面のボディソニックシステム等で話題を集めた。「お立ち台」では、羽根の付いた「ジュリ扇」を振りながらボディコン姿の女性が乱舞。
火砕流
火山噴火のとき、高温のガス、火山灰、火山岩塊などが一団となって斜面を落下する現象。6月、長崎の雲仙・普賢岳が噴火。日本でも62年ぶりという大火砕流が起き、以後「火砕流」という言葉が定着した。
若貴フィーバー
兄・若花田、弟・貴花田の兄弟関取が共に幕内上位で大活躍。相撲ファンのみならず、日頃は相撲に興味がない若年層まで大フィーバーし、社会現象になった。1992年1月の大相撲初場所で貴花田が史上最年少の19歳5カ月で幕内優勝。その後、共に横綱に昇進。若貴フィーバーは2000年に横綱若乃花が引退するまで続いた。
バブル崩壊ストレス
1991年後半から92年にかけて日本社会を揺るがした心のストレスは、バブル崩壊ストレスであった。バブル崩壊によって生じた生活の破綻や挫折、精神的行き詰まりが心のストレスとなり、社会不安が深刻化。ノイローゼやうつ状態に陥る金融関係者や不動産関係者がメンタルヘルスの対象として急増した。
アウン・サン・スー・チー
1991年にノーベル平和賞を受賞したミャンマーの民主化運動指導者。88年、軍事独裁政権に反対して最大野党「国民民主連盟(NLD)」の書記長に就任するが、軍政当局によって自宅に軟禁される。ノーベル平和賞の受賞は軟禁中の出来事だった。軍政が衣替えした連邦団結発展党(USDP)の総選挙圧勝を背景に、2010年11月、7年半ぶりに解放。現在は、ミャンマーの国家顧問。
地球にやさしい
1990年代に入って以来、エコロジーという言葉がさかんに語られるようになった。92年に開かれたブラジルでの環境サミットでは、世界各国ともに、いかに環境問題に貢献しているかをアピールした。広告でもまた「地球にやさしい」がさかんにうたわれた。