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ことばでたどる平成

価格破壊の平成6年 

イチロー効果

プロ野球オリックス・ブルーウェーブ(当時)に所属していたイチロー(本名、鈴木一朗)が、9月20日の対ロッテ戦で、史上初の200本安打を達成。最終打率も3割8分5厘と、日本のプロ野球記録を次々と更新。イチローの活躍による波及効果を「イチロー効果」と呼んだ。

国民福祉税撤回

国民福祉税とは、消費税引上げに消極的で増減税分離を主張する社会党と消費税引上げに積極的な新生・公明両党の意見対立の中で出てきた案。細川護熙首相が国民福祉税構想(税率7%、3年後実施)を、2月3日未明の記者会見で発表するも、翌日、与党代表者会議が白紙に戻すことを決定。細川首相も決定手順の不手際を認めた。

自社さ連

1994年6月から98年6月までの村山富市を首班とする自由民主党・日本社会党(現・社会民主党)・新党さきがけによる連立政権。自社による連立政権は、自社対決のいわゆる「55年体制」の終わりを告げる劇的な出来事となった。96年1月、村山首相の突然の辞任を受けて、自・社・さの政権枠組みの中で橋本龍太郎政権が誕生した。

価格破壊

1994年に入り、輸入品を中心に価格引下げ競争が強まり、その激しさから、「価格破壊」「価格革命」と呼ばれた。海外製品の輸入単価安、国内製品のオープン価格制度導入、流通大手企業間の競争激化などが要因。

週40時間労働制実現

1987年の労基法改正により、それまでの48時間制が、表向き原則40時間制とされた。実施は段階的で、93年の労基法改正によって最終的に94年4月からの40時間が決められたが、実行できたのは全労働者の2割程度だった。今後の課題は、実態としての労働時間を週40時間とすることである。

「悪魔」ちゃん命名事件

東京都昭島市でスナックを経営する父親(30)が、1993年7月に誕生した長男に「悪魔」と名づけ、昭島市役所に出生届を提出。市はいったん戸籍に記載したが、「社会通念上、不適当」と名前を抹消するとともに名前を変えるように指導。これに対し父親は「戸籍法上問題はない」と東京家裁八王子支部に不服を申し立てた。同支部は94年2月1日、「親の命名権の乱用」との判断を示したものの、「悪魔」での戸籍登載を命じた。市側は即時抗告。しかし、係争中は戸籍上無名になることなどを理由に父親は家裁審判を取り下げ、改名に同意。命名権は親の権利かなど議論を呼んだ。

同情するならカネをくれ

日本テレビ系ドラマ『家なき子』で、安達祐実演じる主役の少女が言う決めゼリフ。建前で生きる世間に対し、彼女が放ったこの一言は強烈なインパクトがあり、話題騒然の流行語となった。

就職氷河期

雑誌「就職ジャーナル」が生み出した造語。就職環境の悪化は産業構造の問題であり、当然に一過性のものではなく長期的、本格的なものという視点から「就職氷河期」と名づけられた。

ヤンママ

茶髪に派手なファッションの若い母親。ヤングでヤンキーから、「ヤンママ」と呼ばれた。1993年秋に「ヤンママコミック」、94年4月は「ヤンママクラブ」などの雑誌も創刊。

大江健三郎ノーベル賞受賞

1994年のノーベル文学賞は大江健三郎に授与された。受賞決定の翌日、大手出版物取次には始業前から注文が殺到。難解さが定評の大江文学だが、在庫のすべてがたちまち底をついた。

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