日本列島総不況の平成10年
日本列島総不況
8月の地域経済動向調査は、沖縄が「横ばい状態」、東海と四国が「低迷している」、残り7地域が「低迷状態が長引き、はなはだ厳しい状態にある」という最悪ランクだった。小渕恵三内閣の経済企画庁長官に就任した堺屋太一は、日本経済の全体状況を「日本列島総不況」と、きわめて明快な言葉で表現した。
環境ホルモン
正式には内分泌撹乱(化学)物質(endocrine disruptor)という。横浜市立大学の井口泰泉教授が名づけた。環境ホルモンはごく微量でも種々のホルモンの分泌異常を起こして正常な代謝機能を撹乱し、生殖機能を破壊するなど深刻な症状を引き起こす。ダイオキシンやPCBのほか、ビスフェノールA、フタル酸エステル、ノニルフェニールのような物質が問題にされている。
ナンバー・ディスプレイ
NTTの行っている「発信電話番号表示サービス」。受話器を取る前に、相手の電話番号がディスプレイに表示される。2月から全国的にスタートした。
冷めたピザ
参院選の大敗(1998年7月12日)を受けて辞任した橋本龍太郎首相の後継者として有力視された小渕恵三外相(当時)をさした米ニューヨーク・タイムズ紙の表現。原文は「All political pizzazz of a cold pizza」で、東京特派員ジョン・ニューファーの表現。“何をしても食べられない”の意で、本来ならば一国の首相に対して失礼な論評だが、日本人には大受け。当の小渕首相も、ピザを持つ姿で米週刊誌に登場するなどした。
貸し渋り
金融機関が融資基準・融資条件を厳しくした結果、健全な企業までが必要な資金を調達できなくなること。バブル崩壊後の不況や担保不動産価格の大幅下落で不良債権が増大、金融機関の貸出し姿勢が極端に慎重化した。資金を貸し出さない「貸し渋り」、貸し出している資金を無理に回収する「貸し剥がし」が問題に。
だっちゅーの
かわいい女性お笑いコンビ「パイレーツ」が、恐ろしく出来の悪いコントの後、決めのポーズ(両腕で胸を挟み、谷間を強調する)で“落とす”際に発するセリフ。小学生からお年寄りまで、大流行した。
ビビビッ婚
歌手松田聖子が、歯科医師と突然の再婚をした理由を記者会見で問われ「ビビビッときました」と答えたことから、その後、あらゆる根拠なき決断に「ビビビッ」が使われた。
自己責任
本来は金融取引においてリスクをとって行動した者が、自ら結果責任をとることをいうが、最近では、責任を転嫁する際にしばしば用いられている。特にこの言葉が頻繁に用いられたのは、2004年4月、戦闘が続くイラクで発生した武装グループによる日本人人質事件のとき。3人の日本人人質に対して自己責任という言葉が向けられた。
凡人・軍人・変人
自民党田中真紀子代議士の自民党総裁選評。「凡人」は地味な小渕恵三、「軍人」は旧陸軍士官学校出の梶山静六、「変人」は異端の小泉純一郎。ほかに「どうせ在庫一掃、ガレージセールだ」とも。
孤独死
単独世帯の増加により在宅でのだれにも看取られない単独死が増加している。なかでも本人の生前の人間関係が薄い一人暮らしで、死後2週間以上(なかには1年以上)経過し、腐敗し、さらに進行し白骨化されて発見される例が増加しており、これを単独死と区別して孤独死と呼ぶ。