イラク戦争勃発の平成15年
三位一体の改革
地方分権の改革が、国からの補助金の削減、地方交付税の見直し、国から地方への税源移譲という三つの改革を同時に行うという意味の「三位一体の改革」が具体的に動き始めた。当初は自治体側も、使途の自由な自主財源が増えることから歓迎する向きが多かったが、経済収支でみるとマイナスで、かえって地方の疲弊に拍車をかける結果となり、2009年衆院選での与党敗北の遠因ともなった。
毒まんじゅう
9月の自民党総裁選で、政界引退を決意した野中広務元幹事長が、小泉純一郎首相支持に回った一部の政治家を非難する際に使った言葉。小泉再選後に密約されたポストを指し、自己の功利に走る政治家の実態にこの一言で警鐘を鳴らした。
マニフェスト
通常は「政権公約」と訳される。前三重県知事北川正恭が提唱したもので、春の統一地方選では、多くの候補者が、有権者にマニフェストを提示した。秋の衆院選も「マニフェスト選挙」といわれた。
SARS
日本中を震撼させた重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome)。38℃を超える高熱、咳や呼吸困難などを主症状とし、肺炎による死亡例も少なくない感染症。
有事関連三法
歴代内閣では研究段階だった有事法制を初めて法案として具現化し、国会に提出した。武力攻撃事態への基本理念や首相権限などを規定した包括法となる武力攻撃事態対処法案、自衛隊の行動を円滑化する自衛隊法改正案および安全保障会議の機能強化を図る安全保障会議設置法改正案の3法案。テロ・不審船対応や大規模災害など武力攻撃事態以外の緊急事態については必要な施策を講じるとするにとどまり、国民への警報・避難・防護などの民間防衛や、包括的な安全保障基本法の整備等は見送られた。
イラク戦争
3月20日(現地時間)、米軍25万人を中心とする米英軍が攻撃を開始。3週間でバグダッドが陥落し、5月1日ブッシュ大統領は戦闘終結を宣言した。戦争の大義とされた大量破壊兵器は発見に至らなかった。アメリカ政府によれば、戦争に参加、あるいは支持したのは日本を含む44カ国で、「有志連合(The Coalition of Willing)」と呼ばれた。
1円起業
2月、最低資本金規制に関する特例措置が施行。「中小企業挑戦支援法」と呼ばれ、設立後5年までは、資本金はいくらでも構わないというもの。極端にいえば資本金1円でも会社を設立できることになったため「1円起業」と呼んでいる。
年収300万円
2003年は「年収300万円」ブームが起きた。いま転職すれば即刻年収300万円、転職しなくてもじわじわと賃金が下がっていき300万円に落ち着く時代。賃下げやリストラで年収300万円コースに陥る人が増えた。日本経済新聞のアンケートでも「今後定期昇給を残す」と回答した経営者はわずか18%だった。森永卓郎『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)がベストセラーに。
ネット自殺
2002~04年にかけて、20代を中心に、若者たちがインターネットの自殺サイトで知り合い、一緒に死ぬ約束をし、一酸化炭素中毒、あるいは睡眠剤を使うなどの方法で自殺するという事件がたびたび起きた。
『バカの壁』
東京大学名誉教授で解剖学者の養老孟司が書いた『バカの壁』がベストセラー。呉智英『バカにつける薬』、小谷野敦『バカのための読書術』、立花隆『東大生はバカになったか』など書名に「バカ」が付く本がヒットした。