政権交代の平成21年
政権交代
8月30日の総選挙は、事前の予想通り、自民党が解散前の300から119へと議席を激減させて惨敗。一方、民主党は115から308へと議席を3倍近くに増大させ第1党に躍り出た。9月16日、民主党の鳩山由紀夫代表は特別国会の首班指名選挙で新首相に選出され、同日、民主党・社民党・国民新党の3党による鳩山連立政権が発足した。野党が単独過半数を得て、政権交代が実現したのは戦後初めて。
事業仕分け
行政の無駄をなくすため公開の場で国の事業を個別に評価し、要不要について選別する活動。自治体では2002年から行われていたが、民主党政権の行政刷新会議が導入し、改革の目玉となった。翌年の第2弾以降は独立行政法人の事業や特別会計も仕分けの対象とされ、説明責任の確保、情報公開という側面もあった。
G2論
中国の台頭を背景に、米中の2大国の連携で、世界的な課題の解決に当たるべきだとする考え方がアメリカで浮上し、G2論と呼ばれるようになった。ハーバード大学の歴史学者N・ファーガソンによる「チャイメリカ(Chimerica)」という新造語も登場した。
核なき世界
4月5日にアメリカのオバマ大統領がプラハ演説でとなえた概念。核兵器を保有する国家が増え、核実験が続き、闇市場では核の秘密や核物質が大量に取引され、核爆弾の製造技術が拡散し、テロリストが核爆弾の入手を決意していると指摘。そのうえで、「アメリカが核兵器のない世界の平和と安全を追求する決意であることを、信念をもって明言する」と宣言。
新型インフルエンザ
4月、メキシコから新型インフルエンザ(H1N1)が発生。世界的に感染が広まりWHOは6月にパンデミック(爆発的流行)を宣言。政府は検疫体制の強化、発熱外来の設置、ワクチンの確保などの対応に追われた。
派遣切り
派遣労働者の契約中途解除や更新拒絶などのこと。リーマン・ショックを受け、日本では自動車をはじめとした生産ラインに派遣されて働く派遣労働者の契約中途解除、契約打切りが相次いだ。製造業で働く派遣労働者の多くは、工場そばの寮に入居することが就労の条件になっているため、派遣切りにより、雇用と住まいを同時に奪われるという事態が日本各地で発生した。
裁判員裁判
5月21日、裁判員裁判制度が施行。実際の裁判員裁判は8月3日に東京地裁で始まった。
草食男子
協調性が高く、家庭的で優しいが、恋愛やセックスには積極的でない、主に40歳前後までの若い世代の男性を指す。自動車の購入など顕示的消費にも興味を示さず、バブル崩壊後の経済停滞が、その精神構造に影響を与えたという指摘もある。
普天間飛行場移設問題
9月に誕生した民主党政権の鳩山由紀夫首相は、沖縄県外への普天間飛行場の移設を模索したが、結局、2010年5月28日の日米合意と閣議決定によって辺野古が移設先とされた。この決定に沖縄が猛反発するとともに社民党が連立から離脱し、鳩山政権は崩壊した。
1Q84
新潮社から5月29日に発売された村上春樹の書き下ろし長編小説。予約が殺到して発売以前に増刷が決定。その後も爆発的に売れ続け、12日間でBOOK1、BOOK2の2巻合わせて100万部を突破、両巻ともにミリオンセラーとなった。