【軽減税率】
2019年 ユーキャン新語・流行語大賞 トップテン
消費税が10%のものと8%のものが混在することで混乱が起きることは前々から予想されていました。結果、買う側も混乱し、売る側もレジの変更や顧客対応などで負担を強いられることに。翻弄される食品小売り業界から「スーパーアキダイ」の秋葉社長に賞が授与されることとなりました。
消費税率を10%に引き上げる際に、食料品などに8%の軽減税率を導入することになった。軽減税率が適用されると、こうした食料品の税金の負担感は、10%に引き上げられる場合よりも軽減される。しかし、軽減税率と標準税率という二つの税率が共存することになり、軽減税率の対象となる食料品の線引きが恣意的になる。実務上は、標準税率が適用された原材料で軽減税率の食料品を生産する場合、税の転嫁がややこしくなる。軽減税率を適用すると税収が減るから、何のために増税するのか、政策の意図が不透明になる。また、食料品を多く購入するのは高額所得者だから、軽減税率で所得再分配効果を期待するにも限界がある。
(政策研究大学院大学特別教授 井堀利宏、『現代用語の基礎知識2020』p.156)