【闇営業】
2019年 ユーキャン新語・流行語大賞 トップテン
「闇営業」ということばは「正規の手続きを踏まない」ことを表すもので、許認可制の業務を無許可で行うことも含めて指すものでした。芸人が事務所を通さずに営業することは「直(ちょく)営業」とも呼ばれていたようですが、今回の問題には反社や企業のブラックさなどさまざまな「闇」があり、すっかりこちらが定着したようです。
吉本興業などに所属するお笑い芸人が、振り込め詐欺グループの会合に参加し、ギャランティーを受け取っていたことが明らかになった。多くの芸人を仲介していたカラテカ・入江慎也は事務所の契約を解除され、雨上がり決死隊・宮迫博之やロンドンブーツ1号2号・田村亮などには厳重注意処分が下された。その後、宮迫と田村両名による涙ながらの会見により、事務所からの強圧的な姿勢が明らかになり、社長が会見するに至った。出演しているワイドショー番組で経営陣に楯突いた加藤浩次などの存在もあり、会社の体制が問題視されたものの、あっという間に尻すぼみしてしまった。その後、会合に参加していた芸人の多くが復帰、また、お笑い番組などでは数々の芸人が「闇営業」をネタにする傾向が見受けられた。そのネタを「タブーに挑戦した」と褒める動きもあったが、何一つ構造的な変化が生まれなかったことを、芸人たち自身が問題視しなければならないのではないか。
(ライター 武田砂鉄、『現代用語の基礎知識2020』p.119)